脳卒中から助かる会 ☆☆

MAIL click!

要望書

 

平成19年12月 4日

神奈川県知事 松沢成文殿

   神奈川県保健医療計画に関する要望

「脳卒中から助かる会」
代表  上野 正
(東京大学名誉教授、日本学術会議元会員)

 私達は脳卒中患者、家族、および有志約180名からなる市民団体です。
  このたび公表された「神奈川県保健医療計画改訂素案」に関連して、脳卒中医療、特に急性期医療の整備と情報開示を中心とした要望を提出致します。
  ご検討の上、要望にお応えください。
          なお、本要望に対するご回答を戴きたく下記宛お願い致します。
                    〒231-0824 横浜市中区本牧三之谷17-28 
                        上野正(電話/FAX 045-621-0398) 

1 現在は、脳卒中医療が大きな進歩を遂げた結果、発症後3時間以内とも言われる急性期に適切な治療を受けられれば、命が助かる可能性、殆ど元のように回復する可能性、後遺症が残っても軽くて済む可能性が飛躍的に増大した。 然し、このため手遅れは許されず、
 @ 1年365日、毎日24時間脳卒中専門の医師が待機し、CTとMRI
   など高度な機器が常時使用でき、優れた急性期治療を行える病院
A このような病院を確実に利用出来る医療体制
の二つが必要である。然し、現在@が出来る病院は県でも、国全体としてもごく少ない。また、数少ない@の病院を活用出来る医療体制、情報提供体制も十分整備されていない。 

  今回公表された県の素案では、@の出来る病院の必要性と増加させる対策については殆ど触れていないが、病院間の連携体制と情報提供については、
@)脳卒中医療を行う医療機関のステージと医療機能を明示し、患者や県民の一人ひとりに分かりやすい情報を提供する
A)急性期対応の医療機関を中心として、予防から治療、リハビリテーションに至るまでの医療連携体制を整備する。(21頁)
とあり、これらが有効に実現されれば、従来の医療状況からの画期的前進であり、大きな成果が期待される。
  私達としては、脳卒中医療体制の整備・充実、特に上記@、Aの実現を切望する立場から以下について述べる。
  2 急性期医療で特に知りたい情報
  3 脳卒中救命救急センターの指定を
  4 脳卒中医療体制の整備

2 急性期医療で特に知りたい情報
  脳卒中は、最初の急性期の治療が運命を分ける。このため、県の保健医療計画には以下の情報を明示して頂きたい。これらは患者、県民が日頃知りたいと痛感しながら正確には知り得なかった内容である。
1)1年365日、毎日24時間脳卒中専門の医師が現場に待機している病院名
2)1年365日、毎日24時間CTとMRIが稼働して、脳卒中の為に常時使用出来る病院名
3)脳卒中集中治療室(SCU)を有する病院名
4)ストローク・ユニット*(SU、脳卒中専用病棟(病床))を有する病院名
5)t-PAによる治療を実施している病院名
6)脳血管内治療を行う病院名
なお、以下についてはホームページ等での情報提供を希望する。
・ 1)の条件を満たさない急性期対応の各病院において、脳卒中専門の医師 が確実に待機している時間帯、曜日
・ 2)の条件を満たさない急性期対応の各病院において、CTとMRIが使用可能な時間帯、曜日
*)ストローク・ユニットについては資料1参照

3 脳卒中救命救急センターの指定を
  現在、高度で特殊・専門医療が必要な重症患者を担当する三次救急医療については、大学病院など12箇所の総合病院が救命救急センターに指定され、素案の「救急医療体制」の表にも三次救急担当として具体的な病院名が記載されている(39頁)。
  しかしながら、脳卒中に関してはこれら12病院のすべてが急性期対応の十分な機能を備えているとは言い難い。一方、例えば横浜市立脳血管医療センターはこれら12病院と同等か、それ以上の急性期医療機能を持っている。
  脳卒中患者が少なければ、このままで問題は無いが、脳卒中は急性心筋梗塞と並んで4大国民病の一つとして患者が多く、しかも一刻を争う三次救急対象者が多数である。
  従って、このような能力を持つ脳卒中専門病院を脳卒中救命救急センターとして指定し、保健医療計画の救急医療体制の表にも三次救急担当病院として病院名を明記することが必要である。
  実際、上記脳血管医療センターは県下最大の脳卒中集中治療室(SCU)を持つが、上記12の救命救急センターのうちSCUを持つものは7箇所だけである。 また、脳血管医療センターでは1年365日、毎日24時間脳卒中専門の医師が現場に待機し、MRIとCTが常時使用出来るが、前記12病院のすべてがこの機能を持つわけではない。
  この表のままでは助かる患者も助からない可能性を無視出来ない。

4 脳卒中医療体制の整備
急性期への対応「手遅れが無い」為には1項 @の24時間体制が必要だが、これは容易なことではない。
  脳卒中専門の医師(神経内科医と脳神経外科医)の合計が10人の病院では各医師が1ヶ月最低3日は徹夜勤務となる。合計が15人でも月2回であり、これが出来なければ手遅れが起こる。(オンコールではどうしても時間がかかり、しかもコールするかどうかも専門外の医師の診断による。)
  このため、@の24時間体制を備えた病院はごく限られる。県としてはこれらの病院を支援してこの体制を強化するとともに、新たにこの機能を持つ病院を増加させる政策をとって欲しい。
  ストロークユニット(SU)の導入 これは@の24時間体制に加えて、脳卒中専用病棟(病床)を持ち、関連診療科の医師とともに、看護師、理学療法士など脳卒中診療に特化した多職種によるチーム医療を行う体制で、急性期治療に加えてリハビリテーションも行う。 脳卒中医療の標準的なタイプとして有効性が証明されている。脳卒中医療に対応する主要な医療機関には必須のものとなろう 。県としても直接、間接の支援,誘導によってこの体制の導入を促進して欲しい。(資料1の1、2参照)
  中心となる核の必要性 主要な病院にSUが導入されたとしても小規模のSU群だけでは現代の脳卒中医療の実施は困難である。 例えば、全部のSUに脳血管内治療医を配置することは出来ない。 急性期対応のこれらSUが適切な連携体制をとると同時にその中心となる大規模SU(病院)があって、特に高度の医療とともに、医師の教育や研修などを担当することが不可欠とされる。これは日本の脳卒中医療の推進にも貢献することとなろう(資料1の5、6参照)。
  県としてもこのような連携体制によって高水準の脳卒中医療を実現して欲しい。 神奈川県の場合、横浜市立脳血管医療センターは300床の脳卒中専用病床と、かつては何人かの名医を擁して著しい成果を上げていたが、一時期の混迷により窮状に陥った。 現在は相当に回復し、検査機器も最高級のものに更新し、核としての基盤を保持している。差し当たりは将来のことというべきであるが、このような中心の有力候補と考えられる。勿論県全体としては、複数の連携体制が必要であろう。
  医療と看護の質の向上 有効な急性期医療は、これまで述べた医師の数や機器だけでは確保出来ず、医師の能力に大きく依存する。 特に優秀で実力のある指導的な医師の影響下に質の向上を計ることに留意していただきたい。
  また、急性期の医療は、特に信頼出来る看護によって支えられる。看護体制の規律、看護師の教育の向上を、技術、意識、モラルの向上を含めて促進することを希望する。
 回復期、および維持期リハビリテーション
  急性期医療は有効な回復期リハビリテーションに接続して初めて十分活かされるが、神奈川県や横浜市では回復期リハビリテーション病床が不足している。
  一方、現在は脳卒中の急性期医療は多数の専門医と高度な機器を必要とする為、少数の有力な病院に集中せざるを得ず、その他の病院が担当することは困難となった。
  従来の小規模な脳卒中担当病院が自治体の適切な支援、誘導によって、従来の経験を活かして回復期リハビリテーションを担当するならば、全体として優れた脳卒中医療の実現が期待されよう。
  また、維持期リハビリテーションは広く地域に密着した多数の病院を必要とするが、これも1項(A)の急性期担当病院を中心とした一連の医療連携体制の中に位置づけられることによって一

 


omo