脳卒中から助かる会 ☆☆

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要望書

平成19年12月 4日

中田宏横浜市長に対する

   脳卒中医療体制の整備と情報開示推進の要望

「脳卒中から助かる会」
代表  上野 正

 現在、全国の都道府県で来年4月からの実施を目指して、保健医療計画の改訂が進められており、神奈川県も改訂素案の公表と意見募集を行いました。
  脳卒中もその中で4大国民病の一つとして、重要な対象とされています。この新しい医療政策整備の時に当たって、横浜市に対して以下の要望を提出致します。 ご検討の上、要望にお応えください。

1 医療機関の情報開示について
脳卒中急性期医療で特に必要な情報 脳卒中は発症後3時間以内とも言われる急性期の治療が運命を分けるので、以下の情報を明示して頂きたい。 これらは患者、市民が日頃知りたいと痛感しながら正確には知り得なかった内容である。
1)1年365日、毎日24時間脳卒中専門の医師が現場に待機している病院名
2)1年365日、毎日24時間CTとMRIが稼働して、脳卒中の為に常時使用出来る病院名
3)脳卒中集中治療室(SCU)を有する病院名
4)ストローク・ユニット*(SU、脳卒中専用病棟(病床))を有する病院名
5)t-PAによる治療を実施している病院名
6)脳血管内治療を行う病院名
なお、以下についてはホームページ等での情報提供を希望する。
・ 1)の条件を満たさない急性期対応の各病院において、脳卒中専門の医師 が確実に待機している時間帯、曜日
・ 2)の条件を満たさない急性期対応の各病院において、CTとMRIが使用可能な時間帯、曜日
*)ストローク・ユニットについては資料1参照
医療機関に対する情報開示の促進 現在、市内でも進んだ病院では診療科別に担当医師名と各医師の学歴、所属学会、医師として保持する資格などを明記して利用者の判断の助けとしている。 また、病院の医療機能、診療体制について明記したものも少なくない。
  今後、横浜市として市内の病院に対して、利用者の為の情報開示を促進していただきたい。 少なくとも、市税導入の対象病院に対しては、上記の例を含む情報開示の実施を促すことを求める。
医療情報提供担当部門の設置 医療情報開示の重要性は今後ますます増大する。 横浜市としても医療情報の収集、医療機関に対する情報開示の促進、市民からの要請に対する情報提供等に責任を持つ担当部門を設けていただきたい。

2 脳卒中医療体制の整備について
急性期医療について 
  現在、脳卒中医療の大きな進歩の結果、急性期に適切な治療を受けられれば、以前とは比較にならない良い結果が得られるようになったが、このためには手遅れは許されない。
1年365日、毎日24時間脳卒中専門の医師が現場に待機し、CTとMRI が常時稼働して使用できる
必要であるが、これは容易なことではない。
  脳卒中専門の医師(神経内科医と脳神経外科医)の合計が10人の病院では各医師が1ヶ月最低3日は徹夜勤務となる。 合計が15人でも月2回であり、これが出来なければ手遅れが起こる。(オンコールではどうしても時間がかかり、しかもコールするかどうかも専門外の医師の診断による。)
  このため、これが出来る病院は市立脳血管医療センターなど極めて限られている。横浜市としてはこれらの病院を強化して、急性期患者の受け入れ能力を増大させるとともに、新たにこの能力をもつ病院を増加させて欲しい。
ストロークユニット(SU)の導入 SUは上記の24時間体制に加えて、脳卒中専用病棟(病床)を持ち、関連診療科の医師とともに、看護師、理学療法士など脳卒中診療に特化した多職種によるチーム医療を行う体制で、急性期治療に加えてリハビリテーションも行う。 脳卒中医療の標準的なタイプとして有効性が証明されている。脳卒中医療に対応する主要な医療機関には必須のものとなろう。 市としても直接、間接の支援,誘導によってこの体制の導入を促進して欲しい。(資料1の1、2参照)
  2年前の横浜市病院経営局の案(平成17年12月1日)によれば、「市立病院、市大病院、地域中核病院など基幹病院へのSUの導入を衛生局(現保健福祉局)が中心となって検討する」とあるが、今回の「横浜地区地域医療計画改訂素案」は全くこれに触れていない。 SUは脳卒中患者を救う為の有力な医療体制であり、導入に向けた真剣な努力を求める。
回復期、および維持期リハビリテーション
  急性期医療は有効な回復期リハビリテーションに接続することが必要であるが、神奈川県や横浜市では回復期リハビリテーション病床が不足している。
  一方、現在は脳卒中の急性期医療は多数の専門医と高度な機器を必要とする為、少数の有力な病院に集中せざるを得ず、その他の病院が担当することは困難となった。
  従来の小規模な脳卒中担当病院が自治体の適切な支援、誘導によって、従来の経験を活かして回復期リハビリテーションを担当するならば、全体として優れた脳卒中医療の実現が期待される。
  なお、この方針は平成17年に横浜市衛生局(当時)が公表し、今回の横浜地区地域保健医療計画改訂素案も言及しているが、適切と言えよう。
  また、維持期リハビリテーションは広く地域に密着した多数の病院を必要とするが、これも1項(A)の急性期担当病院を中心とした一連の医療連携体制の中に位置づけられることによって一層の有効性が確保出来る。

3 横浜市立脳血管医療センターについて
  同センターは平成11年に、我が国最大、最新鋭の脳卒中専門病院として発足し、神経内科や脳血管内治療では一流と目される医師を擁して大きな成果を上げつつあった。 それが5年前から突然の混迷に巻き込まれ、一時はリハビリ施設となる可能性も生じ、専任医師が半減するなど大変な窮状に陥った。
  然しその後、当時の混迷に直接責任を持つ関係者は昨年秋までに概ね一新され、ようやく本年春から回復が進んでいる。
 
  現在は専任医師も定員の7割に戻り、脳卒中専門の医師は合計12人、本年は最高級レベルのCTを導入、来年早々にも最高級レベルのMRIを導入する。 運営上も同センターの市民委員会が本年発足し、委員長は日本脳卒中医療界の中心である日本脳卒中学会の篠原幸人理事長である。
  現在最大の課題は、トップクラスの指導的医師の帰任、来任によってセンターの医療の質を向上させるとともに、専任医師の来任を促進すること、および看護体制の規律、看護師の教育の向上を、技術、意識、モラルの向上を含めて促進することである。
急性期患者の受け入れ能力の強化 同センターは300床の脳卒中専用病床を持ち、大規模ストロークユニット(SU)であるとともに、県下最大の脳卒中集中治療室(SCU)を持つ。
  特に貴重なことは1年365日、毎日24時間脳卒中の専門の医師が現場に待機し、MRIとCTが常時使用出来る体制を、設立以来(混迷時の短期間を除いて)保持して来たことである。
  この体制を持つ病院が少ないことが、本市、本県と限らず日本の脳卒中医療の弱点となって来たのであり、この点の克服が今回の保健医療計画の改訂とも関連している。
  市としても同センターのこの機能を強化し、さらに多くの急性期患者の受け入れが可能となるよう、努力して欲しい。
ストロークユニット(SU)群の中心としての機能 今後は、脳卒中急性期医療を担当する主要な医療機関にとって、SUの導入は不可避となろうが、 主要な病院にSUが導入されたとしても小規模のSU群だけでは現代の脳卒中医療の実施は困難である。 例えば、全部のSUに脳血管内治療医を配置することは出来ない。急性期対応のこれらSUが適切な連携体制をとると同時に、その中心となる大規模SU(病院)があって、特に高度の医療とともに医師の教育や研修などを担当することが不可欠とされる(資料1の5、6参照)。
  横浜市の場合、脳血管医療センターはこのようなSU群の核となる基礎条件は現在でも満たしており、他にこの条件を満たす施設を見い出すことは困難と思われる。問題は、実際に中心としての機能を果たす実力を備えることであって、それは前記の課題を達成することである。
  横浜市は、全国有数の大都市として同センターがこのような力を獲得して、脳卒中から市民、県民の生命と健康を守るとともに、日本の脳卒中医療の前進にも貢献出来るよう力を注いでいただきたい。

4 脳卒中救命救急センターの指定を 
  現在の「横浜地区地域保健医療計画改訂素案」の中で、脳卒中の三次救急担当病院に指定されているのは横浜市の救命救急センターとされる市内5箇所の総合病院であり、「脳卒中に関する医療連携体制」の表にもこれら5箇所だけが具体的な病院名を記載されている。
  然し、高度で特殊・専門医療が必要な重症患者を扱う三次救急医療については、脳卒中に関する限り市立脳血管医療センターはこれらの病院と同等か、それ以上の能力をもっている。
  実際、上記脳血管医療センターは県下最大の脳卒中集中治療室(SCU)を持つが、これら5病院のうちSCUを持つものは2箇所だけである。 また、脳血管医療センターでは1年365日、毎日24時間脳卒中専門の医師が現場に待機し、MRIとCTが常時使用出来るが、これら5病院の全てがこの機能を持つわけではない。
この表のままでは助かる患者も手遅れで助からなくなる可能性が無視出来ない。
これは患者を本当に救うという見地から見て、許されないことである。
  このような誤りは直ちに正して、市立脳血管医療センターを脳卒中三次救急担当の病院として明確に指定し、脳卒中医療連携体制の表にも病院名を明記する必要がある。

 上記5箇所の救命救急センターは、対象を限定しない一般の為に指定したと判断されるが、このままでは上記のような誤りを生じやすく、危険である。
  脳卒中患者が少なければ、このままで問題は無いが、脳卒中は急性心筋梗塞と並んで4大国民病の一つとして患者が多く、しかも一刻を争う三次救急対象者が多数である。
  従って、このような能力を持つ市立脳血管医療センターを脳卒中救命救急センターとして指定し、保健医療計画の救急医療体制の表にも三次救急担当病院として病院名を明記することが必要である。


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