脳卒中から助かる会 ☆☆

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要望書

平成19年7月19日

中田宏横浜市長に対する

   市立脳血管医療センターの事故に関する要望

「脳卒中から助かる会」
代表  上野 正

 7月4日、上記センターで痛ましい事故が起きた。脳出血の治療で5月から入院中の患者の呼吸補助器の停止が1時間以上も見過ごされて心肺が停止した。 手当で心拍はもどったが意識は戻らず、自発呼吸もできないまま、10日目の13日に亡くなった 。医師の治療によって、あるところまでは回復したものの、看護の過失によって命が失われた。
  この亊件によって、これまでセンターの医師不足問題の陰に隠れていた看護と安全管理の不備が明らかになった。
  私達は中田宏市長に対して、患者・家族の立場からこの事件の経過と原因、関係する当事者の責任の解明と、センター、特に看護部門の徹底的な改善を求めるため、この要望を提出する。

 なお、センターはかつて日本有数の脳卒中専門病院であったものが、その後大変な窮地に陥った。今年の春になってようやく回復の兆しが見えて来た所に、今回の事故が起き、私達としては痛恨の思いである。
  然し、センターは今後の横浜市の脳卒中医療において中心的役割が期待される専門病院であり、看護と安全管理はそれを支える重要な基盤である。
  今回の事故を重大な教訓として、看護部門を徹底的に改善することが、センターの本格的再建の基礎である。 
  要望提出に当たっては、この点を指摘しておきたい。

センターの説明(7月7日の記者会見に基づく新聞報道による)
@ 7月4日早朝,センターの入院患者の呼吸補助器が停止。
A 停止1時間後からナース・ステーションの監視モニターが警告音を30分以上送り続けたが、室内に10人いた看護師は誰も気づかず。
B 患者は呼吸補助器停止1時間半後に心肺停止状態で発見された。蘇生処置で心拍は再開したが意識不明。
C 事故の2日後の7月6日に、家族に説明と謝罪。
D 看護師が警告音に気づかなかった原因は、半年以上前から音量レベルを最低の1に設定してあったため。設定の理由は警告音がうるさくて眠れないという入院患者の苦情によるという。
E 呼吸補助装置停止の原因は不明。

監視モニターの音量 今回の事故では、病室に看護師の目が届いていなかったことも一因と思われる。実際、呼吸補助器は1時間半も止まっていた。然し、決定的な原因は監視モニターの警告音のレベルが、誰も気づかない最低レベルに設定されていたことである。
  誰がレベルを下げたのかなど・・・の話題が出ているが、一番肝心の点を確認して責任ある処理を行うことがすべての出発点である。
  それは、監視モニターの音量レベルを事故当時のレベルに下げるにあたって、看護部としての検討を行ったかどうかの一点である。
  看護部として十分な検討なしにレベルが設定されたのであれば、看護部の管理運営に責任を持つ者は、この事故の責任を取らねばならない。
  監視モニターは患者に取っての命綱であり、この音量設定によって一人の命が失われたのである。

医療に対する誠実さ センターの当局者は記者会見で、モニターの音量レベルを最低に下げた理由を「患者から苦情が出たため」と説明した。
  患者の命に直接関わるモニターの音量は担当部門である看護部が責任を持って決定するのが安全管理の基本である。
  責任の基本にふれず、患者の苦情等に理由を転嫁した説明は、当局者が医療担当者として正常かどうかを疑わせる。私達としてはこのことを深刻に受け止めている。
  医療に携わる人たちには、医療に対する誠実さ、責任感というものが必要ではなかろうか。

看護部の弛緩 少し前までのセンターは、市内の他の病院と比べて看護も実に行き届いて親切だったという印象を語る人が多い。
  ところが最近は規律が緩んでか、患者の扱いが悪くなった。病室も汚くなったし、他の病院から来た看護師は元からの人と比べて粗雑だ、などの苦情も聞くようになった。不安に感じていたところに今回の事故である。
  昨年看護師が副センター長に就任した時は、看護師の立場が重視されて看護が充実するかとの期待もあったが、これはすっかり裏切られた。
  看護部の責任者が副センター長を兼ねるからには、各病室をよく回って患者の状態をしっかり把握し、ナースステーションの状況も十分掌握して看護師の教育も充実させるべきであった。今回の事故はこれを怠ったためである。
  今後の新しい責任者は、現在の弛緩した看護部を徹底的に立て直して患者も医師も安心して信頼出来る看護体制を実現して欲しい。
  とくに、弛緩してしまった規律と責任感の強化が必要であり、責任ある立場の職員に対しては特に強く求められる。また、看護師に対する看護と安全管理の教育、指導の徹底が不可欠である。
 
家族への説明遅延 7月4日に患者が意識不明となった事故の説明が、2日も後だったという事実に私達患者・家族は衝撃を受けた。
  なぜ直ちに知らせなかったのか? 知らせはしても説明しなかったのか?
内容から見て直ちに説明出来ないとは思えない。
   患者・家族としては、市当局がこのような遅延を重いことと見て、原因と責任をはっきりさせ、再発防止策を明示して欲しい。

     市長に対する要望

1.今回の事故の原因と責任を明確にし、責任者の処分を行うこと。
  とくに、今回の監視モニターの音量設定を看護部が十分検討した上で行ったか否かを確認すること。
2. 安全管理に関し、以下について現状を点検、確認し、不備については改修、改善すること。
  @ 機器の機能とその運用(例:呼吸補助器、監視モニター)
  A 安全管理体制とその運用(例:安全管理部門と看護部の関係、役割分担等)
3.安全管理の維持、向上のため、マニュアル作成など有効な方策を立て、早急に実施すること。
4.看護師に対して、看護と安全管理の基本の教育、指導を徹底すること。
5.脳卒中医療の強化と、医療と安全管理に関する教育等のため、松岡慈子先生を早急にセンターに帰任させること。
6.今回の事故被害者の家族に対する説明遅延の原因と責任を明確にすること。
  今後は患者の容態急変時には、家族に対し速やかに連絡すること。

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